半定住・半遊牧民達とは、通常は村に定住していますが、家畜である羊の体力消耗と毛の質の低下を避けるため、夏の暑い季節のみ羊を山岳地帯に移し、その地に短期定住する人々のことを指します。

町とテントの風景
そのため専門化の間では、半定住・半遊牧民を村の住人と位置づけられる場合もあります。半定住・半遊牧民は遊牧民に比べ、移動する距離や時間も短いことから正確には遊牧民とは呼べません。半定住・半遊牧民のキリムには以下のような特徴があります。
- かつては家族内で使うことを目的として織り上げていたが、現在では販売目的で織るケースがほとんどである
- かつては基本的に自然のものだけを利用していたが、現在では簡単に使える化学染料などを用いるケースがほとんどである
- かつては個性的であるため非常に面白いものが多かったが、現在は売りやすい柄(売れ筋の柄)が多く、ほとんどが似たり寄ったりである
- かつては村の恒例行事として共同で一つのペルシア絨毯やキリムを織るという風習もあった
- かつては糸を手で紡いでいたが、現在では機械で糸を紡ぎ使用しているケースがほとんどである
過去に比べて質の面で最も激変したのが、この半定住・半遊牧民(村の住人)のキリムです。かつて彼らの主たる収入源は農作物でした。しかしキリムが世界各国で注目を集めるようになり、市場で高値で取引されることを知った彼らはキリムを重要な収入源と考えるようになり、売る目的で織り始めたのです。
また利益優先のために手間の掛からない化学染料や機械紡ぎの糸まで利用し始めたのです。その結果、品質は急激に落ちてしまうという残念な結果を招いてしまったのです。利益を目的にするということは、これほどまでに大きな弊害を生んでしまうのです。
かつては丁寧に作られていた日本酒も、工業化で利益最優先に走った結果品質が下落したことも同じ例ではないでしょうか。本当に残念なことです。
ちなみに半定住・半遊牧民のキリムは特にトルコに多く存在しています。トルコは地政学上、砂漠のような場所は存在しますが、完全な砂漠は存在しないため、イランの遊牧民のような本格的な遊牧の生活をする必要がなかったためです。なぜなら遊牧をせずとも、羊やヤギのエサとなる草木が至るところに生えているからです。彼らは夏の暑い時期だけ狭い範囲内で移動していただけなのです。

