キリムの素材
キリムに使われる素材には様々なものがあります。一般的に最もポピュラーなキリムの素材は、ウール(羊毛)ですが、これ以外にもあります。あまり知られていない、あるいは実物が少ないラクダ毛、ヤギ毛、馬毛、シルク、綿などが挙げられます。このページではそれぞれの素材の特徴をご紹介します。
ウール (Wool)
ここで言うウールとは羊の毛のことです(人によってはラクダの毛など動物の毛全般をウールと呼ぶこともありますが、ここでは羊の毛のみに焦点を当てます)。ウールは最も一般的に使われている素材です。それは・・・
- 安価で大量に入手できる
- 保温性に優れている
- 染めやすい
- 柔らかく、糸に紡ぎやすい
- 高い油脂成分を含んでいるため、毛にツヤがある
ラクダ毛 (Camel Hair)

ラクダの毛のキリムは珍しく、キリムをよく知るマニアの方でさえも、縦糸・横糸ともにラクダの毛が使われたキリムの実物をご覧になった経験のある方は少ないです。そんなラクダの毛には以下のような特徴があります。
- ウールよりもさらに保温性に優れている
- 糸に紡ぐのが大変難しい
- 色染めせず、原毛の色のまま使われることが多い
- 大変希少価値の高い素材である。
またラクダの毛は糸に紡ぐことが難しく、糸にするには熟練の技が必要とされ、誰にでもできるわけではありませんでした。このような背景からラクダ毛のキリムは大変貴重価値が高く、現在ではほとんど目にすることがありません。
ヤギ毛 (Goat Hair)

ヤギの毛のキリムは非常に珍しく、キリムをよく知るマニアの方でさえも、縦糸・横糸ともにヤギの毛が使われたキリムの実物をご覧になった経験のある方は大変少ないです。そんなヤギの毛には以下のような特徴があります。
- 長く・硬質である
- 手触り感がザラザラしており、麻のようである
- 糸に紡ぐのが非常に難しい
また、ヤギは本来乳を搾取することを目的として飼育されていたため、毛を刈り取ることを目的として飼われていた羊に比べ、その絶対数は羊よりもはるかに少なかったのです。
このような背景から、ヤギ毛がキリムに使われることは非常に珍しく、大変希少価値の高い素材であると言えます。
馬毛 (Horse Hair)

馬のタテガミと尻尾の部分の毛が、キリムの素材として使われます。砂漠地帯では馬よりも少量の水で生き抜くことのできるラクダが用いられていため、イランやトルコでキリムに使われた素材ではありません。馬を利用していたウズベキスタン・カザクフ・アフガニスタンなどのキリムの縦糸として使われていました。馬の毛もヤギやラクダの毛と同じく、大変希少性の高い素材です。
シルク (Silk)
シルクはペルシア絨毯などの素材としては非常にポピュラーですが、キリムの場合は希少な素材であると言えます。そんなシルクには以下のような特徴があります。
- 輝かしい光沢がある
- 非常に柔らかく、なめらかな手触りである
- 高級な素材である
- 素材としての歴史は浅く、50〜60年ほどしかない
なお余談ですが、シルクを珍重するのは(特にペルシア絨毯の場合)日本人くらいであり、インテリアの最先端を走る欧米ではウールの方が圧倒的に人気があります。その理由は、ウールの場合長年使われていくことで色合いに深みが生まれ、また柔らかくなるためです。つまりよりよくなるからなのです。
そのためイランなどでは日本人がなぜこれほどまでにシルクにこだわったり、ありがたがったりするのか判らないと思われています。ちなみに世界の博物館に所有されているペルシア絨毯のほとんどがウールのものです。
綿 (Cotton)

綿は比較的キリムによく使われる素材です。そんな綿には以下のような特徴があります。
- 主にキリムの縦糸として使われる
- 純白の色を演出したい部分に使われる
- 長年使用しても、クリーム色や象牙色に変色しにくい
その他 (Others)
キリムには毛やシルクだけが使われるのではありません。それら以外にも用いられるものもあります。例えば金属・ビーズ・貝・コインなどです。これらはあくまでキリムの飾りや模様の一部(アクセント)として付け加えられます。

